青森駅と秋田駅の間を日本海沿いの五能線経由で結ぶ観光列車リゾートしらかみ。その人気の理由の一つは普通運賃と指定席券だけで贅沢な観光列車に乗れるという料金のお手軽さ。そしてさらにお得に乗る方法まであるのです。
今回は全行程235kmを約5時間かけて移動するロングライド、初めてのリゾートしらかみ乗車体験を解説を交えてお伝えします。
リゾートしらかみ
まず乗車計画を練るにあたっては下調べが大事!自分が色々調べて知り得た、リゾートしらかみ初体験の人がチケット購入までで知りたいだろう情報がこちら。
料金
全席指定・立席不可
リゾートしらかみは全車全席指定(禁煙)のため、乗車する場合は事前に指定席券を購入する必要があります。空席があれば乗車直前でも購入可能ですが、車内では購入できません。満席だから立席で…なんてことも基本的に認められていません。
普通運賃・フリーきっぷで乗車OK
快速列車なので普通運賃で乗車できる!例えば青森=秋田で乗車する場合の料金は指定席券が閑散期330円・繁忙期530円、そこに運賃4540円で計4870円~5070円となります。しかも青春18きっぷや北海道&東日本パスなどのフリーきっぷでの乗車が認められているため、上記きっぷがあれば指定席券の料金だけで乗れちゃうのです。なんとお得な!
運転日と時刻表
運行日
4月~11月はほぼ毎日運行、12月~3月は年末年始や休日冬季は週末のみなどに減便されるので注意が必要です。基本的には1日3往復ですが、車両メンテナンスなどで2往復となる日もあります。
時刻表(使用車両)
使用される車両は3種類で新しい順に「橅(2016年導入)・青池(2010年導入)・くまげら(2006年導入)」となります。各列車の主要駅発車・到着時刻表(2023年5月時点)は以下の通り、青森=秋田の所要時間は5時間10分のロングライドです。
のぼり | 青森 | 弘前 | 東能代 | 秋田 |
2号 青池 |
8:09発 |
8:44着 8:48発 |
12:19着 12:25発 |
13:26着 |
4号 橅 |
13:51発 |
14:26着 14:30発 |
18:00着 18:06発 |
19:01着 |
6号 くまげら |
ー | 16:06発 |
19:42着 19:49発 |
13:26着 |
くだり |
秋田 | 東能代 | 弘前 | 青森 |
1号 橅 |
8:19発 |
9:12着 9:19発 |
12:48着 12:52発 |
13:29着 |
3号 くまげら |
10:50発 |
11:45着 11:54発 |
15:49着 | ー |
5号 青池 |
13:57発 |
14:51着 14:58発 |
18:54着 18:58発 |
19:38着 |
海側はA席
リゾートしらかみの醍醐味は海沿いを走ること。ならば海側の窓側席を確保したい!通路の両側に2席ずつのシートはA席~D席と割り振られており、海を眺めるならどの席がベストなの!?
正解は…秋田行きでも青森行きでも、橅でも青池でもくまげらでも、海はA席側です!当然予約はA席が人気で、何号車でもいいからA席を確保できるかの戦いとなります。
きっぷの予約と購入
インターネット
リゾートしらかみ公式サイトの予約ボタンから、えきねっとのページに飛んで予約・購入するのが簡単です。シートマップからの座席指定可能、各種変更も可能。支払いは現金・クレジットカード(乗車日直前はカード決済のみ)。購入後は乗車前にみどりの窓口か指定席券売機で紙きっぷを発券する必要があります。
みどりの窓口・券売機
購入・発券を一気に完了したいならみどりの窓口や指定席券売機で。そしてみどりの窓口ならばえきねっとでは選択できないボックス席が購入できるのです!ボックス席については後述します。
販売開始日
指定席券の発売日時は1ヶ月前の同日午前10時から。例えば7月10日の指定席券ならば6月10日の10時に販売開始となるわけです。是が非でも確保したい席があるならば、みどりの窓口に発売日の10時前に行き、10時と同時に処理してもらう作戦が有効。混雑時に行うのは難しいですが。
青森➞秋田、橅の旅へ
どうせ乗車するならば一番新しくて設備も良いという「橅(ぶな)」に乗りたい!秋田からの橅は1号で8時18分発、青森からの橅は4号で13:51分発。青森発なら当日に札幌を出発しても間に合うなぁ…ならば!
北海道&東日本パスとオプション券を購入し、えきねっと購入した4号A席の指定席券も発券して準備はOK!特急スーパー北斗と北海道新幹線を駆使してやってきました青森駅。
車内探索
弁当と飲み物を買い揃えてホームに降りると、秋田からやってきた橅が車内清掃の状態で待機中。
窓が大きくていいじゃなーい!
超広いシートピッチ
清掃が終わって乗車できたのは発車時刻の7分前。まずは自分の席に荷物を置いて…って、シートの前後間隔がめちゃくちゃ広い!
調べてみるとリゾートしらかみのシートピッチは1200mm。なんと新幹線グリーン席の1160mmよりも広い贅沢空間!前席の背面にあるテーブルを利用する時は背もたれから体を起こさないと届かないくらい広いのです。
小物入れネット・ドリンクホルダー・袋下げフックを完備。しかしパソコンやスマートフォンの充電ができるコンセントやUSBポートはありません。
展望室
先頭と最後尾にはシートのないフラット空間があり、そこが展望&イベントスペースです。前後を見れば線路上の景色で視界も広い。
左を見ても広い窓。展望室の利用は自由ですが他の乗客との譲り合いをお忘れなく、という旨のアナウンスが流れていました。
右を見ても広い窓と椅子。そして木の柱?
これが橅の木を模したモニュメントで、その裏には座席にはなかったコンセントを発見!スマホ・PCの充電OKとなっていますが、ここで充電したまま自席に戻るのはリスクもあるのでやや使いづらいところではありますね。
ここに乗車記念スタンプも設置されています。
自分も1枚…おっと列車が揺れるっ!で若干ぶれた仕上がりに。ちなみにリゾートしらかみのルート全般として結構揺れるポイントが多かった印象です。
ボックス席
2号車は全てボックス席で、橅では4席×9ボックスの構成。席は海が見えやすいように配置されており、陸地側が通路となっています。
それぞれに大きなテーブルがあり、グループでワイワイするにはバッチリ!定員は4人ですが6人で座っても大丈夫なほど余裕のある広さです。
荷物は頭上の棚に置くことができますよ。
ボックス席の弱点はリクライニング機能がないこと。しかしその代わりにフルフラット機能がついているのです!これなら小さいお子さんとかを寝かせることも可能。
自分もこんなボックス席に座りたい人生だった…。なんて嘆いている独り身のあなた?安心してください!使えますよ!
ボックス席はひとりでも利用可
ボックス席指定券の購入はみどりの窓口のみというのは前述したとおり。自分が予約する際にボックスを選べなかった理由は一人だったからではなく、えきねっとでは受け付けていなかったから。ボックス席自体はひとりから利用できるのです。車掌さんに聞いた情報だから間違いないっ!
自分もそれを事前に知っていればみどりの窓口で購入していたのに…。ネット中心の生活が裏目にでました!
ただし一人で独占できるわけではなく、相席となる可能性もあるためボックス席を避ける人も多いのだとか。見知らぬカップル2組が1つのボックスに…なんてことも?各ボックス席にもA席~D席が割り振られており、AとDが窓側の席となります。
乗車後でも空きがあれば普通席からボックス席へ変更してもらえるという話を耳にしました。車掌さんに聞いてみたところ、この日は満席だからダメとのこと。でも見た感じでは空席が…、いや何にせよボックス席はみどりの窓口で確保しましょう。
キャリーバッグ置き場
大型の荷物がある場合は出入口の付近にある荷物置き場を利用すると良いでしょう。盗難に備えて念のためワイヤーロックがあるといいですね。
セルフレジ売店
小型のお土産、おつまみにお菓子、お茶やりんごジュースなどがセルフで購入可能。しかし食事となるようなもの、お酒は取り扱っていません。できればパンくらい欲しいなー。支払い方法は交通系ICかクレジットカードのみ、現金では購入できないので注意。
カウンター席
3号車に設置されている横向きに座るカウンター席で、海側を向いています。元々はここが有人の売店だったそうですが、現在はセルフレジへ移行されたようです。
ここも展望席同様に自由に利用してOK!自分は結構この空間が好きだったのですが、ほとんどの人が自身の指定席から動かず。まぁ背もたれがないですし、海が見たい時にだけ来るって感じが多そう。
トイレ
1号車と3号車に設置されているトイレのうち、車いす対応トイレはさすがに広い!男性専用の立ちトイレもありますが、揺れでのリスクは結構高めです。
お昼ごはん
少し遅いランチタイムは折角なのでカウンター席でいただきまーす。メニューは青森の駅ビルで購入した帆立釜めしとイカメンチでございます。
目の前が大きな窓で全面展望な反面、駅に停車時にはホームにいる乗客から自分の食べている姿が正面に丸見え…。外の景色を覗く時、外の景色もまたこちらを覗いているのだ。というニーチェなカウンター席です。
車内イベント
外の景色を眺めていると聞こえてきたフランス語のような語り。モニターに目をやると何かやっている?
それは地元のお母さんによる「津軽弁の語りべ実演」だった!
リゾートしらかみでは休日や夏休みなどを中心に、津軽伝統金多豆蔵人形芝居・津軽弁実演・津軽三味線生演奏などが先頭車両の展望スペースで行われるのです。この日は土曜の開催日だったというわけ。録画じゃないのかって?先頭車両まで見に行ってみましょう。
乗客を横に招き、物語を語っておられる真っ最中。合間には軽く会話を交わしたりしておられましたよ。ただし半分以上何を話しているのかわからなかった自分がここに。そんな津軽弁を聞きながらコーラを飲みつつカウンター席でまったり。
千畳敷で一時下車
青森駅を出発して約2時間で景勝地の千畳敷に到着。ここでは15分停車するので海辺まで行って楽しんでくださいの観光タイム。ほとんどの人が列車から降りますよねー。
駅から道路を渡ってすぐ目の前が千畳敷と海!
潮が引いて歩けるようになった岩場はヌルヌル…危ないっ!
波打ち際まで行く人も結構いますが、この日の空はどんより気味で綺麗に海が見えるとは言い難い天気。風も強くて寒いので自分は一足先に橅の温もりへ戻ります。ここには自販機があるので飲み物を買い足すチャンスですよ。
景観スポットではスロー走行
この後も海沿いを走り続けるわけですが、その中でも海に接近して景色の良い場所では速度を落としてくれるサービスがあります。じっくり眺めたり、撮影したりできるのでありがたい!
しかしこの日は青く見えないのがもったいない…。水が透明なのはわかる、あとは光さえ差し込めばっ!でも雨じゃなかっただけヨシとしますか。大きな窓が水滴まみれの光景だったらそれこそ5時間ただ運ばれているだけですし。
海を離れて秋田駅へ
日本海沿い80kmを走った列車はやがて海から離れていき、能代駅に到着。ホームにバスケットゴールが設置されているのがなんとも能代!でもここでボールを使ったら怒られるやつですね?
続いて東能代駅に到着したのが18時ちょうど。ここで6分間の小休止ですが、ホームには自販機がありません。買うなら一旦改札の外へ。待合所にはKIOSK(NewDays)もあってついに食料調達できる!と思いきや18時に閉店。つまり列車到着=売店閉店…。
東能代から先は進行方向が逆向きに。自分の席もくるりと回転させます。あとは田んぼの多いエリアをひた走るくらいで、空はだんだん暗くなって景色が楽しめるのも終了。この時ボックス席はなんかいいムードの色合いになっていた。
19時01分、5時間10分の時をかけ、秋田駅に到着!出迎えはナマハゲさんです。
ふぅ…乗っていただけなのですが5時間超ともなれば軽い達成感がここに。天候には恵まれませんでしたが、それでもなかなか楽しめた旅路でした。最後に実際に乗車してみて気づいたこと、お伝えしておきたいことをまとめます。
リゾートしらかみ乗車まとめ
食料は出発前にしっかりと
出発してしまってから食料を調達したくなっても車内のセルフ売店しかありません。停車中に降りて売店へ行くのはかなり厳しいものがあります。出発する前にしっかりと買い込んでから乗車しましょう。秋田駅、弘前駅、新青森駅、青森駅あたりならば駅前で調達するのも容易です。
そこまで海じゃない
全行程の約3分の1が海沿いのルートとは言え、トンネルだったり、木が邪魔だったり、少し海岸線から距離があったりと、そこまで海の景色が満載というわけではありません。ただ何度か絶景ポイントが現れますし、広い窓から眺める街や畑の景色もいいものです。
普通席の居心地は超快適
説明したとおりシートピッチが広々でかなり楽です。5時間は長いので少し寝たいという人はボックスではなく普通席を選んだほうがいいでしょう。各車両の最後列の席を選ぶと真後ろにキャリーバッグなどの大型荷物も置けちゃいます。海側はA席ですよ!
ボックス席はみどりの窓口で
一ヶ月前の同日10時からみどりの窓口で、これが合言葉です。ひとりでもボックス席が利用できます。実際に利用した列車でも3つのボックスがひとり客に利用されていました。閑散期ならば結構高確率で相席を回避できそう?
以上、リゾートしらかみ橅の乗車体験話でした。また乗りたいか?今度はボックス席で乗りたい!叶うならば晴れている日に。
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