宮崎県と鹿児島県にまたがってそびえる韓国岳(からくにだけ)は霧島連山の最高峰であり、その標高は1700メートル。韓の国(朝鮮半島)まで見渡せるほど眺望が良いことが名前の由来という説もあるそうですが、果たして山頂にはどんな景色が!?
九州本土最高峰の中岳で1791メートルなので、韓国岳を制すればほぼ九州を制したと言っても良いのかも?という気持ちで登っていきましょう。
韓国岳えびの高原コース
いくつかある登山ルートの中から選んだのは、えびの高原を起点に往復する「韓国岳登山口コース」です。最も一般的で難易度も低く、各種施設がしっかりと整備されている安心ルート。駐車場は有料で500円ですが、登山で必要となる課金はこれだけ。
えびの高原からしっかりとターゲット(山頂)を捕捉!えびの高原の標高約1200mに対して韓国岳山頂は約1700m。つまり標高差約500mを登るということで…これはなかなか疲れそうな予感。
案内板によると韓国岳往復は4.2kmで、所要時間は2時間30分。ただしこの日は硫黄山の噴火警戒により一部通行止め&迂回ルートとなっていました。
その日の噴火状況・通行可能ルート・気象条件など登山についてはえびのエコミュージアムセンターで教えてもらえます。登山前に寄って確認しておくと良いでしょう。ちなみに携帯トイレ回収箱もここに設置されています。
登山準備
さーて、てっぺん取りに行きますか!と意気込んだところで飲み物を買い忘れてたことに気づく。さすがにノードリンクはまずい…、でもえびの高原なら…
足湯の駅の内外に自販機があるのでドリンクを忘れたとしても大丈夫。下山後に冷えたコーラを買うこともできる充実さ。
さらに9時からはデイリーヤマザキが営業しており、食事やおやつ、お土産までも購入できます。登山用の補給物資を用意していなかったとしてもここで揃うコンビニエンス。
登山開始
駐車場の反対側に渡り、案内矢印に従って登山口方面へ。
駐車場から徒歩1分で韓国岳登山口に到着。入山届はこの少し先でとなりますが、所要時間はここからのタイムとして記載していきます。
スタートして少しの間はなだらかな遊歩道を進みます。
約5分で入山届のボックスを発見。入山時に現在時刻を記入して投函するだけのタイプですね。
本来は遊歩道に従って登るのでしょうが、そこには規制線が。ここからは硫黄山から距離を取るための迂回ルートで、右の林の悪路へと逸れて進みます。
のちほど地図で確認してみたら、実は韓国岳へはショートカットとなるコースだったと判明!迂回路によるタイムロスはほぼなさそうですね。
硫黄山展望台 25分経過
あれ?いつの間にか通常ルートに合流した?見通しの悪い森林道を黙々と登ってきましたが、ここに展望台出現。
噴煙をもくもくとさせる硫黄山。結構ガスの匂いがしますね…、迂回ルートになっていたのも納得。
ここからは登山道が一気にハードに。ゴツゴツした岩の上を進む不安定な足場に山の呼吸が乱れるっ!
三合目 30分経過
標高はスタート地点から約200m高くなり1410m。見晴らしと景色が本格的に良くなってきた!硫黄山の奥にあるのが不動池、右には甑岳。
えびの高原駐車場に駐めてある自分の車も見えたっ!
四合目 40分経過
木々の背丈がだいぶ低くなってきました。そろそろ森林限界かな?
五合目休憩所 48分経過
スタート(えびの高原)から1.2km、山頂まで0.9kmの地点が標高1520mの五合目。
ここにあるプチオアシスが韓国岳登山道休憩所です。
簡素ながらも綺麗でそこそこ広く、休憩するには必要十分。ただしトイレはありません。
壁面のトレッキングマップで少し勉強タイム。登山慣れしている人は韓国岳登山口ではなく、大浪池登山口から韓国岳山頂を目指したり周回するコースを選ぶそうです。大浪池登山口周辺に大量の駐車があったのはそういうことかー。
六合目 55分経過
休憩所で2分ほど休憩して再出発。思えば三合目から六合目までの間がもっとも疲れた区間でしたよ。なにせ急斜度でまっすぐ登る岩の多い坂道なのですから息も…ハァハァ…。それが六合目からは傾斜のゆるい横向きな登り道に変わり、次第に呼吸は楽に。
七合目 60分経過
ここから先は視界がほぼフルオープンに。下界を見下ろしながらの進行でだいぶ楽しくなってきたー!呼吸もすっかり落ち着いて疲労感も歩く速度も回復。
八合目 66分経過
八合目を越えるとついに景色は本領発揮!山を回りながらの道なので見える景色の方角が少しずつ変化します。七合目地点では見えなかった大浪池が出現。
コースは噴火口の外輪となり、もう山頂ゴールの雰囲気が漂ってきたー。
柵越しに左側を覗くとぽっかり大きな穴…。見事な噴火口跡にテンションアップ!
九合目 75分経過
山頂まで残り200mの九合目。大浪池の全景をはっきりと捉えた!
こう見ると大浪池登山口ルートのほうが道中の景色は良さそうですね。カルデラ湖の外輪を経由してここで合流します。
さぁこれが山頂への最後の上り坂。
韓国岳山頂到達
登山口を出発して85分、標高1700m…いただきー!
噴火口外輪の縁まで恐る恐る進んで…
右見て~
左見て~
後ろ見て~、噴火口の迫力もさることながら見下ろす大浪池が美しい。
そして南東方向に見える景色も綺麗だけど、あれって…
噴火している?新燃岳だ!
2011年には約300年ぶりのマグマ噴火、2018年には噴煙が約8000m上空にまで達するなど度重なる噴火を続けている新燃岳。噴火は厄介ですが、この景色が韓国岳で一番心に残ったかもしれません。写真では伝わらない、肉眼で見たからこその雰囲気がここにあります。その後ろにそびえる高千穂峰もまた美しい形をしているじゃないですか。
山頂から韓国は見える?
韓国岳の名前の由来となった説は本当なのか?韓国が見えるとしたらここから北北西、この方角なのですが…見えますか?
カメラのズームを駆使しても見えませんが、空が霞んでいるから?結論を言うと『韓国岳山頂から韓国は見えない』とのことです。地図で確認してみると、そりゃ見える位置関係じゃないよなと納得の遠さ。
これって昔の人が天草を韓国と勘違いしたとか?はたまたそもそも韓国とは関係ない由来だったとか。諸説ありなので判然とはしませんが、韓国が見えないことはハッキリとわかりました!
下山後
韓国岳登山お疲れさまでした~。さて、下山後のお楽しみは何にしましょうか?まずは足湯で疲労回復?
それとも甘いものにしますか?限定に弱い日本人は軽い気持ちで「きんかんクリーム大福」を買ってみたのです。きんかんの少し苦さのある爽やかさに生クリームの甘さと乳脂肪分がマッチして、これが期待以上に美味しい。登山で疲れた体にはぴったりでした。
もう少しお腹を満たしたい方にはお弁当や軽食もありますよ。
はたまたお土産も充実でショッピングも楽しめますし、山頂からの景色にも負けない美しいドリンク陳列がここに!これは思わず写真を撮りたくなるレベルでしょう。
動画
今回の登山を簡単な動画にしてみました。
韓国岳登山口コースのまとめ
最後に実際に登った経験から、登りたい方の参考になりそうな点をまとめておきます。
所要時間
- 登山口→山頂=1時間25分
- 山頂での食事休憩=1時間
- 山頂→登山口=1時間
登山初心者の自分が一般より重たい約3kgの荷物を背負って撮影をしながらです。なのでペースとしてはゆっくりめ。それでこの所要時間ということは、案内板のとおり往復2時間30分(食事時間含めず)を見積もれば十分でしょう。
装備
底の厚い登山靴が楽ですがスニーカーでも登れます。登山ポールは持参しましたが使わずに終わりました。手を使って登る場面もなく、手袋類はなくても大丈夫。ヘルメット装着者はほぼいませんでした。防寒・防風ができる装備だけあれば良いという印象です。
飲食物
よほど気温が高くない限りは500mlペットボトル1本~2本くらいでOK。食料がなくともエネルギー切れの心配はないでしょう。しかし山頂の景色をスパイスに食事を楽しんでいる人は多数でした。
駐車場
自動車だけでなくバイクでの利用も可。料金は二輪車200円・普通車500円。100台ほどの収容台数はあるものの、繁忙期は平日でも朝~昼過ぎにかけては満車のことが多いとのこと。早朝でも駐車場は利用可能だが管理人不在のため、出庫時に料金を支払うことになります。
トイレ
登山開始から山頂に至るまでは一切トイレがありません。とは言え、往復2時間半もかからない程度なのでさほど心配は不要。駐車場や足湯の駅などのトイレで済ませてから登りましょう。携帯トイレを使用する際に隠れられるような物陰はほとんどありません。
携帯の電波
良好な電波状況とまでは言えないものの、全体を通して一応あります。
難易度
落石・滑落などの危険な場所はほぼなし。経験や技術もほぼ不要で、ある程度の体力さえあれば初心者でも問題なく登れます。なにせ小学2年生の男の子も登っていたくらいですし。
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