埼玉県の地下には巨大なコンクリート神殿が隠されている。これは都市伝説ではなく、本当の話。しかも内部を見学することができ、今や埼玉を代表する?観光名所としても人気を博しているのです。
首都圏外郭放水路
そもそも地下神殿とは何なのか?正式名称は「首都圏外郭放水路」と言い、洪水に対する防災を担っている巨大施設です。
メカニズム
わかりやすくパンフレットの図を用いて簡単に説明しましょう。対象となっているのは「大落古利根川、幸松川、倉松川、中川、18号水路」の5つの河川。これらが氾濫し洪水を引き起こす可能性が出た際に、地下水路を通じて水を吸い取ってしまおうというのが首都圏外郭放水路の役割です。
各河川から流入した水は調圧水槽に貯められ、ポンプで吸い上げて江戸川へ排水する。大部分が地下に作られているこの施設の中でも『調圧水槽の景色はまるで地下神殿』ということで話題となっているわけです。
これら首都圏外郭放水路の仕組みと詳細な役割については現地でも解説されていますので、来場の際は合わせてご一読を。
見学ツアーは事前予約制
見学は要予約で各回に参加できる人数は20人~50人と限りがあるため、これがなかなかの競争率。バスツアーで訪れる団体さんもいるため少人数の予約でも早め早めがおすすめ。
コースは4種類
地下神殿(調圧水槽)見学を軸にどこまで内部に入れるかで料金と時間が異なる4コースから選びます。
- 地下神殿コース / 約60分:1000円
- ポンプ堪能コース / 約100分:2500円
- 立坑体験コース / 約110分:3000円
- インペラ探検コース / 約110分:4000円
各コースによって参加条件などが設定されているため予約の前に公式サイトの確認をお忘れなく!
防災地下神殿見学へ
地下神殿見学の受付を行うのは埼玉県春日部市にある「地底探検ミュージアム 龍Q館」です。今回は地下神殿コースの60分間ツアーですが、開始から終了まではトイレがないので事前に済ませておきます。
時間になってガイドさんに案内されたのは龍Q館内部ではなく、離れた場所にある地下への入口。この芝生の地中に神殿が存在しているのです。
地下約20mへ
扉の先には階段116段(ビル5~6階相当)。エレベーターなどのバリアフリー設備などはなく、自力で歩ける必要があります。もちろん帰りは登ることになるため息切れしている参加者も。この点はツアー参加条件にもなっています。
階段結構多いな…と心配される方もいるでしょう。同行者も『太ってるから膝がもつだろうか…』なんて心配をしていましたが、案ずるより産むがやすしですよ。意外と歩けるものです。ただし帰りの登り階段では軽く息を切らしていましたけど。
調圧水槽(地下神殿)
調圧水槽は長さ177m、幅78m、高さ18mの巨大空間で、ここに幅2m・長さ7m・高さ18mのコンクリート柱×59本が立ち並ぶ。その光景がパルテノン神殿を連想させることから地下神殿として国内外に周知されることになったそうです。
河川の氾濫危険に際してこの中に水を流入させて一時的に貯水するわけですが、その回数は年平均で7回程度。逆に言うとそれだけ氾濫危機があるということで、首都圏外郭放水路は防災として重要な存在だとわかります。
フリータイムあり
などの簡単な説明と解説を受けたら約20分間のフリータイムの始まり。決められたエリアの中で自由に散策&撮影してOKです。
ガイドさんによると『水の反射を利用して柱を撮ると映える』とのことなので試みる。
奥に見えるのは各河川から流れこんでくる水の通路となる第1立杭。
深さ70mの下方から溢れてきた水が調圧水槽に貯まる仕組み。地下神殿コースでは近くまで寄れませんが、立坑体験コースならこの立坑内の階段を途中まで降りて見学することも可能となっています。
と散策してみるも移動できる範囲が狭いため、フリーの20分間を持て余す…。これは自分だけではなく、参加者(特にご老人グループ)はかなり早い段階で飽きているのが顕著。もう少し神殿の奥まで行ければいいのですけどね。
神殿内は清掃されている
現役で使用されてる水槽なのに内部がずいぶんと綺麗。川の水が入り込んだら土砂や流木などがあってもいいはず。とは思いませんか?
なんと使用して汚れる度に重機と人力を使ってわざわざ清掃しているのですって。でもエレベーターもないのにどこから重機を!?
それは真上にありました。天井の扉を開き、そこから重機を吊り下げて中に搬入。これを年平均7回行うというかなり手間のかかる作業を行っているのです。
清掃の効果もあってか、内部に悪臭が漂うなんてこともなくカビ臭ささもほぼなし。昇降の階段が少しカビ臭かった程度です。ただし夏場は結露で神殿内がびちゃびちゃらしいので匂いも少し…かも?
地下神殿自体への期待を高く持ちすぎていたために少し物足りない結果とはなりましたが、そこに至るまでのワクワク感も含めて1000円というのはアリでしょう。
以上、埼玉に潜む地下神殿のざっくりとしたレポートでした。
龍Q館(首都圏外郭放水路見学会) | |
住所 |
埼玉県春日部市上金崎720 |
営業時間 |
10:00~16:00 |
開催日 |
毎日 |
入場料 |
無料(見学会は1000円~) |
駐車場 |
無料 |
公式URL | https://gaikaku.jp |
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