鳥取県の名山と言えば?伯耆富士とも呼ばれる大山が一番に挙がるのではないでしょうか。ではその山の上から眺める景色は絶景なのか?登って確かめるしかない!という実体験を基に、登ろうかと考えている方への解説情報をお伝えします。
大山登山計画
まずは大山についての情報を確認し、登山計画をたてましょう。
大山の登山コース
象ケ鼻を目指す中~上級者向けのユートピアコース、弥山を目指す初級者向けの夏山登山コース、この2つが主な登山コースですが目指す場所がそれぞれ異なります。今回は大山の山頂を目指す夏山登山コースでのアタックです。
【画像出典:鳥取大山観光ガイド】
想定所要時間
大山観光ガイド情報によると夏山登山コースは山頂まで約3kmで所要時間は『山頂まで3時間・往復6時間』となっています。これには山頂での休憩時間は含まれていないでしょうから実際にかかる時間はさらに…、というのも含めて最後のまとめに実体験情報を記載しておきます。
ちなみにユートピアコースは往復7時間となっています。夏山コースよりも標高が100m以上低い場所を目指すのに所要時間は長い、というのが難易度の違いを物語っています。
山頂と最高地点
大山の山頂は弥山の標高1709mというのが一般的ですが、実際の最高点は剣ヶ峰の標高1729mです。しかし剣ヶ峰に至るルートが非常に危険で到達困難なことから、第二峰である弥山の標高1709m地点が一般な大山頂上とされています。
駐車場や登山口の標高は約760m、そこから山頂1709mまで歩いて登る!標高差約950mの旅が待っています。
駐車場
登山口から最寄りの駐車場となるのが南光河原駐車場です。ここが満車ならば下山駐車場や大山ナショナルパークセンター駐車場などを利用することになります。
南光河原駐車場は冬期間を除き無料、24時間駐車可能です。登山届と下山届の提出もここでお忘れなく。
登山した日は10月31日。平日ですが午前7時半の時点で残りの空きはわずか、8時には満車になりそうといった状況でした。
駐車場にはトイレも完備。夏山登山コースには道中トイレがあるので比較的安心ですが、尿意がなくても登る前に出せるだけ出しておきましょう。
夏山登山コース
南光河原駐車場を出て左へ。歩道で50mほど進めば左手に階段が見えてきます。厳密にはもう少し先に進んだところが登山口なのですが、ここから階段を登るとショートカットになります。
登山口 ▶ 6合目
それでは張り切って参りましょー!登山道との合流地点に『⇦大山頂上』の案内があるのでお見逃しなく。そこを曲がって阿弥陀堂横を抜ける石階段、しばらくまっすぐ登る道が続きます。
スタートしてから約10分、ほぼ真っすぐな登りで一合目に到達。
ここからも整備された階段道を、ほぼ同じ方向に登り続けます。森の中なので見晴らしはほぼゼロ。
二合目を越えて標高1000m地点です。ここまで約25分で240mの標高UPは想定以上のハイペース。
ここから勾配はやや急に…、少しずつ疲れる道になっていきます。
五合目を過ぎたところで行者コースとの合流です。登山口から1.6km進んでの経過時間はほぼ60分。頂上まで残り1.4kmということはすでに半分以上登ったわけで、山頂まで2時間ペースです。
6合目避難小屋
標高1300mを越え、スタートしてから70分で六合目の避難小屋に到着。この周辺は平らに整備されている場所も多く、しばしの休憩とするならばここです。
中は清掃が行き届いていて綺麗。少人数なら横になれるくらいのスペースはあります。
更衣室を兼ねた携帯トイレ使用ブースも完備。携帯トイレを持参していない人でも中で購入できる、緊急時にはありがたい存在です。ただし両替機はないので300円の小銭は必須となります。
トイレットペーパーまで備わっているとはなんて優しいんだ…。トイレキットは椅子にセットして使用します。ただし捨てる場所はないので使用後は下界まで待ち帰りましょう。
六合目では景色を見ながら一休み。ここまでの道のりは景色がほぼ階段か木々。はっきり言って退屈でした。しかし植物の背丈が低くなり、ここから眺望がよくなるゾーンに突入とあって足取りに活力が戻ります。
6合目 ▶ 8合目
ここからは岩場が増え、階段の高さや幅も不規則に、登りにくくなるので足元には注意。
六合目の避難小屋から約30分間はずっとこんな道のまま、200mほど上昇して標高1500mを越えます。肺と太ももへの負担的にはこの区間が一番きついかもしれません。
しかし、振り返れば絶景がいる!というのは背中を押してくれるパワーになります。道は険しくなったけれど、気持ちは六合目までよりもずっと軽い!
8合目 ▶ 山頂
駐車場をスタートしてから85分で八合目の標識、標高およそ1600m地点です。先に言ってしまうと、ここまでくればもう勝ちを確信してOK!
なぜならばここで急勾配はほぼ終わり、視界は一気に広がってパノラマ、一変した景色と開放感が気持ち良いぃー!
目指すべき山頂も確認できます。
さらにここから山頂までは天然記念物のダイセンキャラボクを保護するための木道に変わります。歩きやすい整備、ゆるくなった傾斜、眺望は抜群。もはや疲れ知らずです。
木道の途中で九合目を迎えます。山頂までまだ少し距離はありますが、今までの登りを思えばもはや散歩気分です。
西側に連なる山々はかつてヤマタノオロチがいた神話の地。
山頂手前で頂上小屋との分岐点ですが、そのまま真っ直ぐ山頂へ!
木道はそのまま山頂までつながり、テラスのようになっています。そしてついに…
大山頂上(弥山)
スタートしてから2時間5分、山頂1709mをいただきました~!
このモニュメントの向きが悪くて絶景が背景になっていないのはちょっと残念。反対に向けてくれれば…。いやもしかして反対側も同じようになっている?確認し忘れました…。
ちなみにこの日はハロウィン。前日夜に『何か仮装して登ろうか』と急遽思いつき、なんとか用意できたのがサンタ帽だけ。
それでも効果は抜群だっ!道中めちゃくちゃ話しかけられましたし、中には記念撮影を求める方まで。でも圧倒的に多かったのは
『え?もうサンタさん?』
『ハロウィンです~』
『あ~なるほど』
という流れでしたけど…。
そんな感じで撮影しながら、撮影されながら、会話を交わしながらで、山頂までの片道は『2時間5分』。案内されていた想定よりも1時間早い到着です。
弓ヶ浜、中海、宍道湖まで見渡せるパノラマ絶景をおかずに昼食タイム!時刻はまだ午前10時ですが、登山家の朝は早いためほとんどの人がお食事休憩中です。
今回用意したメニューは鳥取県若桜産枝付き黒豆の炊き込みご飯!下界で炊いて運んできたため豆が寄っているのは御愛嬌。
山頂でお湯を沸かしてカップラーメンも検討したのですが、木道で火を使うのは禁止なのでは?という懸念からこうなりました。
でも実際は火を使っている方が結構多かったんですよね。そりゃあ淹れたてのコーヒーは最高だよなぁ。どら焼きに熱々のお茶もいいよなぁ。
頂上小屋
山頂から少し降りて頂上小屋の中を見てみましょう。
誰でも自由に無料で利用できる頂上小屋。その規模は大きく造りも頑丈、設備も充実、山小屋としては至れり尽くせりです。
館内には男女別のトイレあり、椅子あり、靴を脱いで上がる二階には横になって寝れるスペースがかなり広く取られています。
さらに9時から14時までは売店も営業中。しっかりとした山小屋があるのは登山初心者の人にとっても安心要素です。
下山
それでは景色に向かって下りていきましょう。山頂から八合目にかけてのこの下り道が一番楽しい時間かもしれません。
階段道の上りは太ももに負荷がかかる反面、下りは膝への負担も足を滑らせる危険も少なくて楽。下りはだいぶ早い時間で駐車場まで戻ってこれました。
下山届を提出して大山登山これにて終了!ちなみに携帯トイレの回収ボックスはここに設置されていますよ。
大山夏山登山コースのまとめ
最後に実際に登った経験から、登りたい方の参考になりそうな点をまとめておきます。
所要時間
年に1~2回登山する程度の自分が、一般の人より重たい荷物を背負って撮影をしながら、ペースとしては『上り=平均~ややゆっくりめ、下り=平均~やや早め』で、所要時間は小休憩含めて以下のとおりです。
- 駐車場 → 山頂=約2時間
- 山頂 → 駐車場=1時間30分
- 山頂での食事休憩=1時間
案内にあった往復6時間よりもかなり早く、往復だけなら小休憩入れても4時間程度、食事を含めても往復5時間見積もればいいと思います。
装備
全体的に整備された階段道なので濡れていなければスニーカーでも問題ありません。登山ポールは使わず、手を使って登る場所もほぼないので手袋は不要、ヘルメット装着者はゼロでした。季節に合わせた防寒・防風ができる装備だけあれば良いという印象です。
飲食物
夏場じゃなければ500mlペットボトル1本~2本の水分でOK。足りなければ売店で購入することもできます。食料は備えとしての軽食があれば十分でしょう。ただ余裕があるならば山頂で楽しむ食事持参がオススメです。
駐車場
数カ所ある駐車場はいずれも無料。その中で最寄りとなるのが南光河原駐車場ですが、夏休みや紅葉の時期はすぐ満車に。繁忙期は平日でも日の出後1時間以内、休日なら日の出までに到着が目安とのこと。ただし最寄りにこだわらない&平日ならばどこかしらの駐車場が利用出来るでしょう。というのが現地で仕入れた情報です。
トイレ
駐車場と頂上小屋にトイレ、六合目避難小屋に携帯トイレブースがあります。携帯トイレは避難小屋でも販売していますが持参していくのが無難ですね。
携帯の電波
全体を通してほぼ良好な電波状況です。万が一のことがあっても救護を求めることができるでしょう。
難易度
落石・滑落などの危険な場所はほぼなし。整備された階段や遊歩道が大部分なので経験や技術もほぼ不要、ある程度の体力さえあれば問題なく登れます。頂上小屋もありますし、難易度としては初心者向きで間違いありません。
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