吉備国(岡山県)で生まれた桃太郎は吉備団子を携えて瀬戸内海に浮かぶ鬼ヶ島(香川県の女木島)へと鬼退治に向かった。という話が一般的な桃太郎伝説ですが、本当の由来は別にあるかもしれません。
実は桃太郎が鬼退治に向かったのは海ではなく山だった!?鬼ヶ島とは正反対の方角に位置する山城、その名も「鬼ノ城」です。
鬼ノ城(きのじょう)
標高約400mの山頂に築かれた鬼ノ城はその名の通り鬼の居城。ここに棲む「温羅」という鬼を退治すべく、大和朝廷から吉備津彦命(きびつひこのみこと)が派遣されました。それが昔話「桃太郎」の原型であり、桃太郎の正体は吉備津彦命なのです!
築城されたのは7世紀後半で周囲は約2.8kmの土塁が囲まれていたというかなり広大な鬼ノ城。現在も城跡としてその様子の一部を窺い知ることができるとのことなので行ってみますか、いい旅鬼気分。
まず向かったのは鬼城山ビジターセンターです。鬼ノ城に関する案内と展示を行う施設でトイレと駐車場も完備。ここから鬼ノ城までは約600mを歩いて登ります。登山口には杖も用意されていますが、山頂までならかえって邪魔になりそう。
展望デッキ
少し離れたところから鬼ノ城を眺めたい。そんな人は途中の分岐を展望デッキ方向に進みます。
櫓らしき建物と高さのある土塁、あれが鬼の居城か…。
分岐点に戻り、山頂の城へと乗り込みます。ここまで展望台経由で10分、道も整備されていて大した道のりではありませんでした。
角楼跡
城郭(城壁)から突き出た長方形のスペースは死角を補うための物見櫓。当時この上に建物があったかは判明していないそうです。
角楼から総社の町を眺めると鬼の居城にやってきた感がアップ。ちなみに7世紀頃は向こうに見える住宅地の大部分が海だったらしいですよ。
西門
鬼ノ城にあった4か所の城門のうち最大規模の西門。あの二階から景色を眺めたい!
しかし上には登れず…。ちなみに西門は復元で、他の3か所の門は跡しか残っていないそうです。
敷石
通路としてのほかに、雨水などが城壁を壊すのを防ぐ役割を担っていたという敷石は歴史的にかなり珍しいものだそうです。
そんな敷石の縁には悠久の歴史に思いを馳せるカップルの姿が。吉備津彦命、いや桃太郎のおかげでまた一つの愛が深まったに違いない。
鬼城山案内図
ここで鬼ノ城の全体図をご覧いただきましょう。現在地は図の左側、西門付近です。さて問題、鬼ノ城をぐるっと一周したらどのくらいの時間がかかるでしょうか?
正解は、1周するのに約2時間かかるそうです。ただし一般的な観光としては西門周辺を見ればだいたいOKらしいのです。歴史や城マニアならば一周コースへ。となればライト層の我々はここで撤収ということで…。
実は日本100名城
最後に打ち明けなければならないことがあります。実はここ、鬼が建てた城なんかではなかったのです。鬼ノ城は大和朝廷によって国の防衛のために築かれたとされる古代山城。ただしその詳しい歴史は解明されずに謎のままだそうです。
さらに「日本100名城」のひとつにも選ばれていますが、鬼ノ城に関するサイトをいくつか見てもほとんどが西門の紹介。一般的な観光客目線としては少しボリューム感が足りないかもな、というのが正直な鬼ノ城の感想です。
とは言え、景観はなかなか綺麗。特に夕陽と重なるとより美しいのだとか。ただし鬼城山の麓からビジターセンターまでの車道は狭めで明かりも少ないため、真っ暗になる前に下りるようにしたほうがいいでしょう。気をつけていってらっしゃい!
鬼ノ城(鬼城山ビジターセンター) | |
住所 |
岡山県総社市黒尾1101-2 |
営業時間 |
9:00~17:00(鬼ノ城は24時間) |
定休日 |
月曜と年末年始 |
所要時間 |
30分~2時間 |
入場料 |
無料 |
駐車場 |
無料70台 |
公式URL | https://www.city.soja.okayama.jp/kanko_project/kanko/kannkou_bunnka/kankouti/kinojyo/kinojo.html |
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