姫路市中心部から車で北に約30分にある福崎町はかなり強烈な妖怪の町。京都の妖怪ストリートよりも鳥取の水木しげるロードよりもある意味すごいのです。なにせしっかり気持ち悪い妖怪なのですから。
本格的な福崎町妖怪化計画が始まったのは2017年頃とその歴史はまだ浅く、それゆえ現在進行系で妖怪たちが増殖している発展中の妖怪タウンなのです。
辻川山公園
そもそも福崎町に妖怪が現れたのはなぜか?それは民俗学者である柳田國男氏の生家が福崎町辻川であることに由来します。
そして辻川山公園は妖怪たちがもっとも密集している場所で、その中でも定時に出没する可動式の河童と天狗は目玉となる必見の妖怪!
河童の兄弟
公園の池のほとりで尻子玉を手にしているカッパが兄のガタロウ。
彼は陸上で皿の水が乾いてしまい、固まって動けなくなってしまうという悲運を遂げた悲しきカッパなのです。
池の中にも何か気配が!?
水中に潜んでいる妖怪が弟カッパのガジロウ。この池では毎時0分・15分・30分・45分になるとぶくぶくと泡が出始め…
水上に顔を出した!
必見と言いましたがこれだけです!
実はこれ、以前はカッパ三兄弟が一同に水中から出現する妖怪でした。それがいつしか「カッパは2匹兄弟で兄は乾いて固まった」という新たなストーリーに変更されたのです。きっとこれも妖怪の仕業に違いない。
こんな設定ゆるめの河童ですが、これが福崎町妖怪化への第一歩。『この池の水がどうやっても綺麗にならない。ならばもうここに河童を出現させよう!』という町長のアイディアから始まったそうです。
天狗
普段は小屋の中にいる天狗が毎時5分・20分・35分・50分になると出没。華麗に舞ってくるのかと思いきや、逆さ吊りの刑に処された天狗がロープで降りてきた!
しかしその手には福崎町の「もちむぎどら焼き」という余裕っぷり。さらに天狗が色々とボヤいてくるので聞いてあげて下さい。
招き猫
これは全国妖怪造形コンテストで最優秀作品賞に輝いた作品で、猫とは思えないなかなかグロテスクな造形がすごい。
不気味さとは裏腹に股間の袋から顔を出している亀はキュート。
天狗
なにゆえ天狗は偉いのか?天狗だからこそ偉いのであり、偉いからこそ天狗なのである。さぁ開運のお賽銭を入れなさい。
辻川山公園にはこの他にもいくつかの妖怪がおり、少しずつ増殖もしています。福崎町妖怪観光では欠かせない場所です。
辻川山公園 | |
出没時間 |
9:00~18:05(6~9月) 9:00~17:05(それ以外) |
河童 | 毎時0分から15分ごと |
天狗 |
毎時5分から15分ごと |
駐車場 |
無料 |
辻川観光交流センター
辻川山公園と同じ辻川エリアに2020年に誕生したいわゆる観光拠点で、観光案内・食事・売店・レンタサイクルの貸出などの役割を果たしています。
入口横ではカッパが高々と尻子玉を突き上げています。あれ?これは公園にいた兄弟?でもガタロウは固まったはずじゃ…?なんて細かいことは気にしてはいけません。
これはなかなか痛々しい顔出しパネルを作りましたね(本物はぼかしナシ)。彼らが手にしている尻子玉はこうやって…
抜かれた尻子玉を館内で補充することもできるようです。
お土産に尻子玉入りカレーはいかがですか?
辻川観光交流センター | |
住所 |
兵庫県神崎郡福崎町西田原1470-1 |
営業時間 |
10:00~18:00 |
定休日 |
水曜日 |
駐車場 |
無料29台 |
JR福崎駅前の河童
辻川山公園に出没する河童のガジロウが1.3km離れたJR福崎駅前の水槽に出没する!?
7時07分から20時07分の毎時7分・22分・37分・52分になると下からガジロウが出現!その手には「ようこそふくさき江」の歓迎プレートが、しかしガジロウは駅に背を向けているという詰めの甘さ。
このガジロウは辻川山公園から地下トンネルを通って駅前までやってくるらしいのです。池の中にずっといたのに…とかいうツッコミはナシの方向で。ここではガジロウの全身を360度くまなく観察することができますよ。
いや~なんともグロテスクでよく出来ています。小さい子供が見たら泣き出すレベル。
妖怪ベンチ
福崎町内の各所に設置されている妖怪と並んで写真が撮れるスポット、それが妖怪ベンチです。2018年に9基だったベンチは2019年には14基に、さらに2021年12月には全19基となり、妖怪達は福崎町で着実に増殖中なのです。
2021年12月末の妖怪ベンチマップとベンチ一覧がこちら。定休日や営業時間も併記されていますが設置されているのは屋外のため、基本的にいつ訪れても大丈夫です。
(↓画像出典:福崎町観光協会)
これがまたなかなか素晴らしい出来で、全部に巡ってみようと思わせるほど。というわけで実際に見てきた17基と訪問後に新設された2基を合わせた全19基をご紹介しましょう。
1. 河童
元は福崎駅前で将棋を差していましたが、現在は辻川観光交流センターに移設。将棋の局面には当時から変更がなく膠着状態のようです。
2. 雪女
河童と並んで辻川交流センターに設置されている雪女。その横にはこれまた呪われそうな怨霊の顔出しパネルが。
ここに顔をはめた人間を冷たい視線で見つめるその表情はまさに氷の、いや雪の微笑。
3. 海坊主
海の漢は魚屋ではなくミートショップ松井の入口で波に乗っています。
4. 油すまし
辻川山公園のトイレ前で油を注いでくれるので油を売るのにピッタリ。
5. 座敷童子
もちむぎのやかた前で猫を枕にして眠っている子供。手からりんご飴を落とし、口からはヨダレが…。
6. 鬼
ひのストアに設置されていましたが、閉業に伴い文珠荘へ移設されました。ナルシストなイケメン鬼がスマホで自撮り中、腹筋切れてるよー!
7. 子泣き爺
喫茶サタディサンの前で泣いているベビーおじいさんはアイスクリームをこぼしてしまったようです。しっかりと涙の粒まで造形されていますよ。
8. 小豆洗い
食べ処居酒屋くろすけの前であずきバーを食べながらDSらしきゲームを全力プレイ中。夢中になるあまり溶けたアイスが胸と腕に…、少年の心よフォーエバー。
9. スネコスリ
スーパーマーケットボンマルシェの入口付近で見つめてくる!その可愛さからおよそ妖怪とは思えない存在です。
10. 油坊
これぞ適材適所、焼肉ハウス北山でファイヤー!
11. 一つ目小僧
サラダ館福崎店でべろ~んと舌を伸ばし、足元にはカエルが。ベンチがシーソーのようなデザインなのには何か意味が?
12. 一反もめん
ファミリーマートで一服している一反もめんは当時クリスマス仕様。視線の先にはプレゼントが…。
13. 山姥
株式会社マルフク前のバス停にわがままボディですごく強烈な女子高生がいる!?
ヤマンバメイクを施術中の山姥だ!
ネイルも施し、髪の毛もトップ・サイド・バックで異なる色に染める美意識の高い妖怪。全ベンチの中で至高の存在は彼女かも知れません。
14. 猫また
グルメミートにしおかの招き猫的存在。
15. 天狗
お食事処てんぐの前でパソコンを開いて真剣な眼差しのビジネスマン。
そのパソコンを覗いてみるとロト6当選番号を調べていただけという。これはデキる男と見せかけて、リストラされたことを家族に言えずにエア出勤するお父さんだったり!?
後日再びパソコンの中身を拝見すると将棋に変わっていた!どうやらここが天狗にとってのサボりの場のようです。
17. タタミタタキ
神戸医療福祉大学の正門入ってすぐ右手でうちわを仰ぐ妖怪。
その表情にはなんとも言えないキュートさを秘めています。
18. フクちゃんサキちゃん
神戸医療福祉大学に入って少し坂を上ったロータリー前に設置されているカッパの二人。町長がそもそも想定していたカッパはこういうタイプで、行き違いでガジロウのようなグロテスクなカッパが誕生したとかいう噂も。
以上全19基、しっかり気持ち悪い妖怪ベンチでした。
動画
妖怪めぐりをする上で
実際に巡ってみた感じでは自転車を使うのがベストかもしれません。車でも大丈夫ですが、道の混雑に巻き込まれる可能性と逐一駐車する手間が発生します。神戸医療福祉大学だけは少し離れているので車移動が楽にはなります。徒歩はかなりの時間を要するのでオススメしません。
妖怪の町としてはまだまだ新参で知名度アップもこれからでしょうが今後にも期待できる福崎町です。度々の繰り返しになりますが、なによりしっかり気持ち悪いのが良い!
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