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町家物語館|旧遊郭での建築と歴史解説が面白い!【奈良観光スポット】

鬼滅の刃で今後注目を浴びそうな遊郭ですが、実際にどんな場所だったのかを学んでみたくはありませんか?旧遊郭の建物内部を見学でき、歴史を伝える場所が奈良県大和郡山市にあるので行ってみました!

 

近鉄郡山駅から東に約500m、柳町商店街(金魚ストリート)よりも少し東、細い道が入り組んだ住宅街の一角に旧遊郭エリアはあります。ここが最盛期は17軒の遊郭が存在していたという「洞泉寺遊郭」の跡地です。

 

 

町家物語館(旧川本邸)

元々は「川本楼」という名の遊郭で、大正13年(1924年)に当時最先端だったという木造3階建てで完成。売春禁止法の施行により一斉廃業を余儀なくされる昭和33年まで営業を続けていました。17軒あった遊郭建築も現在はほとんどが取り壊されています。

 

川本楼は廃業後に下宿として利用され、その後に大和郡山市が1億円以上の費用を投じて購入&耐震工事を行い、平成30年1月10日から登録有形文化財「町家物語館」として一般公開されました。入館は無料、大和郡山の観光案内としての役割も果たす建物です。

 

濃厚で見どころ満載の川本楼ですが、細かく取り上げるとキリがないので割愛しつつ紹介していきます。

 

 

遊女を選ぶ
梁見世(はりみせ)

遊郭と言えば、外から建物の窓際に座る見て遊女を選んで入館する「梁見世」という方法をイメージするところですが、川本楼は少し違います。入口の左側に見える格子窓が本来は梁見世の窓ですが、格子が細かくて中が見づらくないですか?

 

入館して格子窓の裏側へ回ります。ここは娼妓溜(しょうぎだまり)という遊女の待機場所で、本来はここにいる遊女を客が外から選ぶわけです。

 

しかしこの梁見世は大正5年に法律で禁止となったため、大正13年に完成した川本楼ではそもそも梁見世のための構造となっていない。格子の目が荒くないはそういう理由だったのです。

 

写真見世

ではどのように遊女を選んでいたのか?入ってすぐの玄関の壁に展示してある遊女の写真を見て選んでもらう「写真見世」という現代に通ずる方式に変わったのです。

 

写真で選んだ遊女がお手すきならば商談成立。入館してまずは帳場(下写真左側の小窓)で料金を支払い、それから2~3階にある遊女の部屋へとあがります。

 

建物のほとんどは大正13年当時のもの。2階への階段は遊女用、客用、経営者用とそれぞれ別に用意されています。我々は何万もの男性客たちが上下した性なる階段で2階へ。

 

 

遊女たちの部屋

2階と3階には遊女達の住んでいる場所でもあり、接客する場所でもある部屋が並びます。それぞれの遊女に個室が与えられていますがお世辞にも広いとは言えません。

 

基本となるのは3畳間で、これが14部屋。

 

さらに4畳半が2部屋、8畳が2部屋、で客室としては全部17部屋。8畳は応接室的な用途で遊女が住めるのは4畳半までだったようです。

 

2階部屋の窓はやや目の細かい格子とすりガラスが使われています。これは向かい側の建物から見られるのを防止するため。

 

3階部屋の窓になると格子が荒く採光性が高くなります。これは当時3階建てが珍しかったために覗かれる心配がなかったためです。

 

 

各所に見られる特徴
猪目窓

壁に施されたハート型の下地窓は見どころポイント!これは猪目窓というもので仏教伝来と共にやってきたデザインだそうです。寺社仏閣にはよく使われている形なのでよく注意して見ると面白いとのこと。

 

照明

当時はすでに電気が開通しており、明かりには電灯が使われていました。しかし廊下の数カ所にはガス灯が設置されていた形跡が。というのも当時の電気は供給が安定していなかったために予備としての併用だったそうです。

 

屋根に面した窓

3階の一部窓にだけあるヘリに空いたこの穴は何か?

 

これは当時組み込まれていた鉄格子の跡で、屋根を伝っての遊女の脱走、もしくは外部からの侵入者を阻止するためのもの。しかし昭和期の戦争によって金属類が政府に徴収されたために鉄格子はなくなったそうです。

 

散りばめられたデザイン性

これは吹き抜け部の壁にくり抜かれた窓です。このように建物内の大きい部分から細かい部分までちょくちょく意匠や素材が凝っています。

 

大階段

2階と3階を結ぶ大階段は転落で怪我人が出てしまったために現在は通行禁止ですが、雛人形を飾る壇として活躍するそうです。その時期は観覧客も大きく増えるとか。

 

 

1階トイレ

通路を挟んで左に男性用が3つ、右に女性用が3つ。女性用の扉には松竹梅が施されています。今はただの木製廊下ですが、当時は奥1部屋分はタイル、手前2部屋分はガラス張りの廊下だったそうです。

 

なぜガラス張りの廊下にしたのか?

下を見えるようにするため。

 

なぜ下が見える必要があったのか?

大和郡山の名産と言えば・・・

 

金魚!?

 

当時はガラス張り廊下の下に金魚の水槽を設置していたそうです。この建物で一番驚いたのはこの通路かも知れません。

 

 

川本邸

この遊郭の経営者であった川本氏の居住部分はさらに豪華。かなり細部にまで趣向が凝らされています。

 

居間

中庭に面したリビングですが、ここにもこだわりが満載。建物に使われているガラスはほとんどが大正ガラスです。

 

雪見障子の上部分は夏・冬で取替可能な構造でこの時は夏用。障子は中央が左右にスライド開閉し、寒くないようにガラスが張っています。一般的な雪見ガラスは上下スライドなのにこれは左右というのが珍しいのだとか。

 

パズルのように入り組んだ細工を施された引き戸が設置されていたり。

 

他にも5.4mある長押はヒノキの1枚板を使用。床柱には槐という中国産の木材を削り出し加工をして使用。屋久島から取り寄せた屋久杉の1枚板を床板に使用。などなど、贅を凝らしてるったらありゃしない。

 

中庭

ぐるっと回遊できる吹き抜け式の中庭は、井戸に棕櫚竹(しゅろちく)という植物で美しい空間。棕櫚は建設当時から植えられているもので、成長しても太くならないのが特徴。この場所に用いるには最適ってことですね!

 

目線を上に向けると遊郭や川本邸の2階部分がぐるっと庭を囲んでいます。この建物のかなり重要なアクセントとなっているのは間違いない!

 

帳場

建物内をぐるっと巡ってお客の受付をする帳場まで戻ってきました。

 

机の横にあるすりガラスの引き戸は一部だけがハート型に、いや猪目型に透過しています。これは来客時にいちいち戸を開けずとも誰か確認できるという工夫。猪目型にするあたりがセンスというやつですね。

 

 

動画

 

とにかく色々内容が濃い建物で見ごたえがあります。結構割愛してざっくりとした紹介しましたが、それでもこのボリュームです。当時の文化や歴史が色々と学べるので是非とも実際に訪れてみて頂きたいスポットに認定!

 

その際は係員さんによるガイドを絶対にお願いしたほうが良いですよ!自分がガイドしてもらってる時に1組のカップルが後から来て案内を断っていましたが、あれは絶対に損していると断言できます!

町家物語館 

住所

奈良県大和郡山市洞泉寺町10

最寄り駅

近鉄郡山から徒歩7分

営業時間

9:00~17:00

定休日

月曜・祝日の翌平日・年末年始

料金

無料

所要時間

ガイドありで1時間

駐車場

無料
公式URL https://www.city.yamatokoriyama.lg.jp/soshiki/chiikishinkoka/kanko/2/9535.html
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