2000年の噴火によって洞爺湖サミット開催のきっかけを作った張本人とも言える有珠山。当時は洞爺湖温泉を中心に多くの人々が長期的な避難を余儀なくされ、避難指示解除となったのは半年ほど経ってからというほどの大きな噴火でした。
そんな有珠山は以前から景勝地でもあり、洞爺湖と昭和新山を上から見下ろす景色を求めて多くの観光客がロープウェイを利用するスポットです。さらにジオパークにも認定されたとあれば登ってみたくなったのです、徒歩で。
有珠山登山へGO
有珠山の登山口はロープウェイ乗り場とは全く別の場所にあるので注意!有珠山の東側にロープウェイ、西側に登山口とほぼ正反対の位置関係です。そのため、片道は登山で片道はロープウェイという方法は難しくなります。
登山ルート
今回のコースは「登山口→南外輪山展望台→有珠山火口原展望台→ロープウェイ山頂駅→登山口」となります。簡単に言うと有珠山の南西側へ登り、外輪を伝って東側まで行って戻るというルートです。
駐車場 → 登山口
有珠駅から北北東に約2km、高速道路の下をくぐる手前に登山者用の無料駐車場が用意されています。車を使わない行き方は「有珠駅から徒歩」しかないような場所です。
駐車場というより空き地といった感じですが、10台少々駐車できるスペースとプレハブの簡易トイレが設置されています。次に現れるトイレは1時間半ほど後になるので事前に済ませておくのをお忘れなく。
駐車場から高速道路下を抜けて50mほど進むと左手に山へそれる道が見えてきます。そこが登山道の入口。
登山届の名簿ファイルがあるので名前・居住地・人数・入山時刻を記入して登山開始!
入山 → 南外輪山展望台
出発時刻は11時44分。ここから第一チェックポイントの南外輪山展望台までは約3km、林の横を進むなだらかな道から始まります。
5分ほどで合流するアスファルトの道をそのまま横切ります。ここで舗装路のほうに吸い寄せられると全然違うところに行くので注意!
案内板には遊歩道と書かれているので登山もこっちでいいの?と少し躊躇いますが、この道で正解。指し示す通りに進んでいきます。こういった目印がポツポツとあるのでこれ以降の道のりで迷うということはほぼないでしょう。
はじめはなだらかだった道も少しずつ荒れが目立ち、急斜面にもなってきます。このあたりは登山時よりも下山時のほうが滑って危険なので注意して下さい。
登り始めて約30分で外輪山展望台まで残り1.5km地点。登り一辺倒ではなく、アップダウンの起伏ある道なのが地味に疲れるんです。
いかにもクマが出そうな深い森の道がずっと続きます。声を出したりラジオを鳴らしたりで人間の存在をアピールするのをお忘れなく。
関係者用の車道のような道と合流したところで後ろを振り返ると海がチラ見できる。このあたりから森が薄くなり、道が明るくなってきます。
あと500m・・・ハァハァ。
登山開始から約1時間で一気に視界が開けて噴火湾(内浦湾)が一望できる景色に。室蘭方面から対岸にある駒ケ岳まで見渡せます。
外輪山遊歩道
登山開始から1時間10分、外輪山展望台と火口原展望台を結ぶ外輪山遊歩道に合流!
この分岐点でロープウェイに向かいたいなら右の火口原方面に進みますが、まずは外輪山を展望すべく左に向かいます。
南外輪山展望台
12時57分(登山開始から1時間13分)に外輪山展望台まで到達!手前から有珠山、洞爺湖、奥に羊蹄山が顔をのぞかせています。
よく見ると小さな煙が上っているのが見える現役の火山です。近年は20~30年周期で噴火しているため、2000年の前回噴火から20年以上経過したのでそろそろ…なんて警戒されてもいるわけです。
ここから反対側を見れば広い噴火湾や駒ケ岳が見えるわけで、ぐるり360度の良い展望。椅子と机が設置されていたのでこの景色で食事休憩とする!
外輪山遊歩道 → ロープウェイ駅
約15分の休憩ののち再出発!外輪山展望台から遊歩道を引き返して先程の分岐点へ。次はロープウェイ山頂駅を目指して右に向かいます。外輪の上を伊達・室蘭方面の街を海を眺めながら緩やかに下ります。
トイレ
すると展望台から10分ほどでトイレに到着。登山ルートにあるトイレは駐車場、ここ、ロープウェイ駅の3ヶ所のみです。
造りは簡素ですが結構綺麗です。緊急時の防災ヘルメットが用意されていたのはさすが現役火山といったところ。
海の景色を楽しみつつ、さらに外輪に沿ってゆるーりと下っていきます。
長~い木製階段
そこに現れる木製階段。なんとこれが約600段もあるという心臓破りの難関です!休憩するような場所はありませんが休み休み登るのがオススメです。
ここにきてこのロング階段はかなり体力と精神を削ら・・・ハァハァ。でもここさえ登りきれば・・・
有珠山火口原展望台
有珠山山頂を間近に望む有珠山火口原展望台に到達しましたが、疲労のあまり展望台の看板を撮影し忘れてしまったというミス!山頂は写真におさめましたが、展望台としては南外輪山展望台のほうが良い景色が拝めますね。
そこからは舗装された下り道でロープウェイ駅に向かいます。向こうに見える三角屋根が往路ゴール…もう少し!
14時07分(登山開始から2時間23分)、やっと到達したロープウェイ山頂駅はまるで砂漠のオアシスのようにすら思えた…。なにせトイレがあって、冷えたジュースが飲める自販機もあるのですから!しかも定価です。
Mt.USUテラス
外輪山展望台で引き返さなかったのはここに来るためと言っても過言ではありません。山頂駅に隣接する洞爺湖展望台に2021年春・グランドオープンしたMt.USUテラス!
昭和新山や洞爺湖を見下ろしながらソファでゆったりと寛げる開放的な展望テラスは、言うならば「びわ湖テラス」の有珠山版です。ただしここは誰でも無料で利用できるのが琵琶湖とは違うところ。
グランドオープンで展望デッキの面積は今までの1.4倍、ソファの数は4倍になったそうです。席の間隔が広く取られているのもいいですね。
カフェも新設され、ホットサンドなどの軽食やソフトクリーム・ドリンクが販売されています。エネルギー不足の方は下山前に補充すべし!
自分もこの景色とコーラで体力を回復させねば…。なんせまだこの足で下山しなければならないのですから。
ここでクイズです。このライブカメラに写り込んでいる僕を見つけて下さい。ヒントはコーラの写真。
下山
山頂で30分ほどの休息を経て、いくばくかの体力を回復できました。さぁ再び歩き出しますか、14時43分に下山開始です!
ただこの時もう嫌になっていた自分が実はいます。なにせこの階段を降りてから、向こうに見える外輪の上まで登らないと帰れないのですから。下山なのに登らないといけないというこのルートが心を折りにくる!
下りは危険だし少しゆっくり帰るか…なんて思いながら木製階段を降りきったところで見つけてしまいました・・・。
これは・・・
クマの糞!?
この写真をツイートして調べてもらったところ、やはりクマ濃厚だと…。ゆっくり下るつもりが自然と足早になってしまったのは言うまでもありません。もうすぐクマの活動が活発になる夕方を迎えるわけで…。
周囲にそれらしき影はないかを警戒しつつ、登山届に下山時刻を記入できたのは16時10分。無事遭遇しなくてよかったぁ~。
動画
有珠山登山のまとめと注意点
全行程の所要時間
出発が11時43分で帰着したのが16時10分。休憩50分を含めて約4時間半の行程でした。当初の想定よりも時間と体力を消耗したのはアップダウンのあるルートが要因でしょう。
各ポイント間の所要時間
①登山口 ②南外輪山展望台 ③有珠山火口原展望台 ④ロープウェイ山頂駅
【① → ②】75分(登り)
【② → ③】40分(外輪遊歩道)
【③ → ④】8分
【④ → ①】90分(下山)
装備と難易度
硬い凹凸の上を歩くこともないので靴底が厚い必要もなく、下り道で滑らないように注意すれば普通のスニーカーでも問題ありません。やや急な下り箇所ではちょっとストックが欲しいなと思ったり。ある程度体力は要するものの特に危険な場所もなく、初心者向け登山でしょう。
服装
標高は500mほどなので下界との気温差はさほどありませんので出発時の気温を参考にすると良いでしょう。一応ウインドブレーカーなどの防寒防風具を1枚余分に持っていけば大丈夫そうです。
飲食物
ロープウェイ山頂駅まで行けば購入できるので片道分の水分(500mlペットで1本、心配な人は2本程度)だけ持っていけば大丈夫でしょう。
クマに注意
ご覧いただいた通りでクマと遭遇の可能性があります。ラジオや熊鈴など音の出るものを用意したほうがいいでしょう。正直クマの糞を見つけた後の1人下山は少し怖かったです…むやみにヤッホーとかの声を発しながら下山しました。
携帯の電波
強弱の変化はあるものの全体的に電波はあります。しかし部分的に全然ない場所が数か所あってそこで電話をかけようとしても厳しいかも知れません。
他の登山客
土曜日のいい天気に行った登山でしたが、思ったよりも登山客がいませんでした。登り時にすれ違った下山客は全部で10人少々。これなら樽前山と違って駐車場の心配はしなくていいのかも知れません。ただし人が少ない分、何かあった時に助けを求められない可能性も高まりますので気をつけて下さい。
有珠山ロープウェイ | |
営業時間 |
8:30~17:00 |
定休日 |
年中無休 |
料金 |
往復1800円 |
駐車場 |
ロープウェイ駐車場は有料 普通車1回500円 |
公式URL | http://usuzan.hokkaido.jp/ja/ |
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