参拝客や観光客がよく訪れる寺社は、立派だったり綺麗に建て替えられていたりするのが普通ですが、ここは真逆。ハッキリ言って老朽化も目立つ寂れた空間です。しかしその寂れ具合が人々を引き寄せるのです。そんな他とは一線を画する神社が福井県勝山市に存在しています。
福井県で有名なお寺と言えば永平寺がその筆頭でしょう。その永平寺よりも『ある意味ですごいお寺がある』と勧められ、やってきたのが「北の苔寺」とも称される平泉寺白山神社(白山平泉寺)です。予備知識ほぼゼロでの訪問だったため、戸惑うほどの衝撃が!
平泉寺白山神社
霊峰白山へお参りする際の登山口として717年に開かれた平泉寺。それが明治初期の神仏分離・廃仏毀釈の流れで白山神社となり、現在は平泉寺白山神社と併記する形に。神社なのに苔寺と言われるのはそのためです。(平泉寺は「へいせんじ」と読みます)
境内
門前は再整備もされた観光地という感じでしたが、そこから先はもう他の神社とは明らかに異なる雰囲気です。 寂れていっているというか、自然に還ろうとしているというか、忘れさられた神社感のような、ここだけ秘境的雰囲気が漂っています。それでは木々が鬱蒼と生い茂る参道を進んで行きましょう。
精進坂
まずは「これより上には魚の持ち込みが禁止」とされていた精進坂、一の鳥居まで84段の石段を登っていきます。その両脇には苔の絨毯が。
一の鳥居
かなりの年季を感じる鳥居は着色もなく質素な様相です。灯籠の足元はびっしりと苔に包まれ、鳥居を抜ける前からすでに納得の苔寺感。
まっすぐ長い参道
一の鳥居から本殿までは約400mの直線で先が見えません。高く深い木々に囲まれて日陰も多く、寂れ感をさらに演出しています。夜には絶対来たくないほど漂う雰囲気が独特!
社務所
一の鳥居を抜けてほどなく左側に社務所があります。御朱印はここで頂けるようですが、お守り類はなさそうです。管理者の方のお住まいといった感じで、一般的な有名神社と違ってここには商売っ気をまるで感じません。
廃墟感も漂い始める
社務所を過ぎたあたりからはより廃墟感が増してきます。脇にあるトイレや建物は封鎖され、木製の門はかなり朽ちてきており、風化の進んだ石垣には苔がビッシリ。
二の鳥居
二の鳥居は1778年に再建されたもので、一の鳥居と同様に装飾は質素。しかし造形は美しく、厳島神社でも見られる脚部に支柱がついた両部鳥居は神仏習合の神社に多く見られる鳥居です。しかも両部鳥居の中央に屋根がついたこの形状は日本ではここだけという話もある貴重な鳥居です。
二の鳥居を抜けて拝殿の前まで来るとさらに、苔!
苔!
苔!
落ち葉が綺麗に掃除されていれば一面に緑の絨毯を拝めたのに惜しい!それも含めて侘び寂びなのかも知れません。という前向きな解釈をしておきましょう。
拝殿(中宮)
もう色が抜け落ちて灰色となった拝殿は全面が閉ざされているので中の様子を窺い知ることはできず。これまた質素な造りに見えますが、1574年の一向一揆で焼失する前は約83mもある大きなものだったそうです。
本殿(本社)
この石段にも苔が生えて非常に風情があり。
1795年再建の本殿は老朽化が進んでいるのか周囲を補助の柱で支えられています。白木造のため元々質素な外観の色味だそうですが、内部は美しく彩られているそうです。本殿の扉は33年に1度だけ開けられ、次回は2025年!
いやーここは確かにすごい。「寂しくて心細くなりそうだけれども、凛としている」そんな現地に行かなければわからない、写真では伝わらない空気感みたいなものがあるのです。寂れているけれど寂れていない、そこらの有名神社よりも断然神秘的な場所でした。
アクセスと駐車場
国道からもさほど離れておらず、道も整備されているので車でのアクセスは良好。駐車場も神社の少し手前に無料で用意されています。駐車場周辺には食事ができるお店が数軒、自販機もあります。
公共交通機関では勝山駅からバスが出ていますが本数には期待できません。タクシー利用の場合は勝山駅から10分程度ですが、駅にタクシーがいなかったり、帰りも乗れるかが不安ということもあります。やはり自家用車やレンタカーがオススメです。
平泉寺白山神社 | |
住所 |
福井県勝山市平泉寺町平泉寺56 |
参拝時間 |
24時間(夜間は絶対怖い) |
所要時間 |
約45分 |
入場料 |
無料 |
駐車場 |
無料 |
公式URL | http://heisenji.jp/ |
コメントをお書きください