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【解説】初心者が十勝岳を目指して上富良野岳~上ホロカメットク登山【北海道観光スポット】

 

登山初心者がふと思いつきました。

麓から見ても綺麗なこの十勝岳の景色を山頂から見たら、もっと壮大な光景が広がっているのでは?しかも今が最盛期の紅葉も上から一望できる。明後日の天気は快晴予報。

 

行こう!

登山計画

勢いで登山を決定した初心者ですが、無知のまま登る愚行は犯しません!まずは十勝岳の情報を収集し、登山戦略を練ります。

 

十勝岳は北海道の真ん中に位置する大雪山系の1つで山頂の標高は2077m。いくつかある登山ルートの中でメインとなるのは2つ。

  • 十勝岳望岳台(930m)からまっすぐ山頂を目指すコース
  • 十勝岳温泉(1280m)から上富良野岳と上ホロカメットク山を経由する縦走コース

てっきり十勝岳望岳台から登るものだと思いこんでいましたが、十勝岳連峰を縦走するコースが人気らしいのです。なんなら十勝岳よりも上ホロカメットク山の方が景色が良いらしく、縦走コースのほうが楽しいらしい。

 

ここから導かれた戦略は・・・

 

ルートは十勝岳温泉からの縦走コースに決定!ただし往復で約7時間を要する長時間コースとのことなので体力的な疑問も残ります。そこで「上ホロカメットク山頂を目的とし、余裕があれば十勝岳まで行こう作戦」に変更とします!

 

 

十勝岳を目指して登山

登山日は2021年9月27日、山の天気は快晴、微風。上富良野市街地の気温は朝7時で7℃、14時に22℃というコンディションでした。登山口から山頂にかけては市街地よりも1000m~1800mほど高い位置になるため、気温は6℃~11℃ほど下がる計算になります。

 

ということは下手すれば氷点下登山!?そのリスクを避けるために登山開始を9時とする!登山をするにはやや遅い時間ですが、気温上昇を待つ初心者なりの保険ですよ。

 

 

十勝岳温泉登山口(凌雲閣)

まずは道道291号線の突き当りとなる十勝岳温泉・凌雲閣を目指します。登山後は日帰り入浴をして帰る人が多いという温泉宿。入口には自販機が設置されているので飲料が足りない方はここで補充できます。

 

駐車場とトイレ

凌雲閣の横に登山客用の駐車場とトイレが設置されています。8時半の時点ですでに満車を超えて区画外に駐めている車すらある!?後続の車もまだやってきます。自分はゴチャゴチャするのを避けて少し降りた道路脇スペースに駐車しました。

 

トイレは24時間利用可能。車中泊しての早朝出発組も多数いるようです。

 

凌雲閣展望台

凌雲閣の裏に設置されている展望台が撮影スポット。紅葉最盛期だったために多くのカメラマンがバズーカ砲のようなレンズを携えて集まってきます。

 

白くなっている部分が安政火口。今から登るのは火口の手前から右側の山に入り、稜線を伝って左へと抜けていくルート、こう見るとかなりハードそうだ…。

 

 

登山開始 → 稜線分岐

トイレよし!食料よし!飲料よし!防寒具よし!色々準備を整えていたら少し遅くなってしまいましたが、入山届に9時15分と記入して登山開始!

 

スタートから安政火口の手前までは緩やかな道が続きます。ナナカマドが真っ赤に紅葉しているぅ~!

 

700mほど進むと三段山との分岐がありますがそのまま直進。三段山も良い景色らしいのですが、縦走できないのでパス。

 

安政火口分岐 ~約25分経過~

ここからさらに奥へと道なき道を進んで行くと安政火口に近づけます。

 

しかし我々が目指すのは山の上、ここで右折して右側の斜面を登っていきます。雪解けの時期はここが川になっているとか。岩に書かれた→の上に☓と書かれていますが→で合っています。なぜ☓と書かれているのだろう?足場を探して斜面を登ります。

 

この段階では富良野岳を目指せばOK!矢印に従って登って行くと後に富良野岳との分岐が現れますから。

 

ここからが登山本番!大きな岩がゴツゴツとして歩きにくいガレ場が増えます。こんな凸凹道が続いたりでなかなか先に進んで行きません。でもこの道で本当に疲れるのは下山なんですよね。

 

上ホロ分岐 ~50分経過~

出発地点から2km進んだ地点に富良野岳方面か上ホロカメットク方面かの分岐点出現。ここが少しわかりにくい分岐なので間違えて富良野岳方面に行かないように注意です。

 

地面の石に「上フラノ・上ホロカメットク ←」と書かれている通りに、この分岐で左に進みます。

 

分岐から10分ほど進むとそろそろ森林限界、背の高い樹木がなくなって視界がひらけます。このあたりも紅葉が鮮やか!

 

このあと急な木製階段が現れます。300段くらいあるとかないとか。いや~ここが一番息を切らしたかもしれない。しかしそんな疲労の先に待っていたのは・・・

 

視界がひらける ~1時間半経過~

眼下の紅葉とゴツゴツ感が美しい富良野岳。

 

上富良野と美瑛の街方面。岩盤が大きくえぐれているのは雪による侵食?

 

安政火口とその向こうの十勝岳から立ち上る噴煙が迫力の光景。

 

稜線を進む

ここからは稜線に沿ったコース、ついに景色が楽しい本番へ突入です!このあたりにくると少し風を感じるように。

 

少し登って振り返ると…富良野岳が大迫力パノラマでさらにすごい!

 

もうすっかり植物の存在が薄くなった斜面。滑落や落石の心配まではなさそうですが、転倒には注意して登っていきます。

 

 

稜線分岐 → 上ホロカメットク

富良野岳稜線分岐に出たぞー!ここで十勝岳連峰の稜線を縦走するコースに合流となります。右に行けば富良野岳、左に行けば上富良野岳~上ホロカメットク山~十勝岳~オプタテシケ山と繋がっているので、左向け左!

 

上富良野岳山頂 ~2時間8分経過~

左を向いたらすぐそこが標高1893mの「かみふらの岳山頂」だった。登山口から約3.8kmを歩き、約600m高い位置まで登ってきた!

 

安政火口もすっかり上から見下ろせる位置に。十勝岳の山肌からは噴煙がモクモク。

 

ここまで登ってきたルートも一望でき、スタート地点の凌雲閣もポツンと見える。あそこから歩いて来たとはなかなか感慨深い…。

 

上富良野岳山頂は座りやすくて景色が良いので食事にするならここ!というのを自分が知ったのは後になってから。どおりで食事をしている人が多かったわけだ。

 

ぐるりと風景を楽しんだら次に向けて出発。1回ぐいっと下って、1回ぐわんと急斜面を登った先が上ホロカメットク山頂です。

 

途中にあったこの断崖…あの突端まで物理的には行けますが、精神的には行けないんだ!流石にあの先端に立って記念写真を撮る勇気はない!こう見直してもヒュンとします。

 

上ホロカメットク山頂 ~2時間半経過~

11時45分、登山口から約4.2kmの道のりを歩いて、上ホロカメットク山頂・標高1920mに到達!微々たる風が『お疲れ様』と労ってくれているかのように心地良い。

 

左を見れば富良野岳

 

正面を見れば上富良野の町と眼下に安政火口

 

右は見れば十勝岳の噴煙と山頂

 

これにて目的達成!

 

ですがそもそもの目的地はこの先だったんですよね。まだ時間と体力の余裕はありそうですし、行けるだけ行ってみますか?2077mの十勝岳山頂!

  

上ホロカメットク → 十勝岳

十勝岳に向かうにはまたしても1回下ってから登るという体力の浪費しなければならない地形!下ったところに建っているのは上ホロ避難小屋です。

 

難所、現る

上ホロを出発してすぐのこの斜面が今回のルートで唯一の難所!?急な上に足場も悪く、岩場に手をかけて上り下りしなければなりません。鎖?ございません!滑落しても死ぬほどではなさそうですがダメージは大きいので細心の注意で。

 

シマリス、現る

下り坂を終えた所で足元をチョロチョロと動く影…シマリスだ!

 

北海道の標高1800m超で!?木の実などもろくになさそうな場所なのに!?まさか驚きの出会いですよ。

 

素早い動きでヒュッと岩の上に飛び乗り、起立、いらっしゃいませのポーズ!

 

かわええ~!

 

下界からやってきた人間へのサービスありがとうございます。自分とは一定距離を保っているものの、そこそこ近い距離でも逃げていかない。ひょっとしたら登山客から餌をもらい慣れているのかもしれませんね。

 

野生のリスに餌をあげていいかの判断が難しい。野生のキタキツネに餌をあげる観光客がいますが、あれはNG行為ですからね!だからごめん、餌はあげずに先へ行くよ!

 

上ホロ避難小屋 ~3時間経過~

木造ですがそこそこ大きな建物で、積雪時にも入れるよう2階にハシゴがかかっています。やはり雪があってもここまで来る猛者がいるのか…。奥に見えるのはトイレ。十勝岳連峰で唯一のトイレなのでは?

 

穴に排泄物を落とす式ですが、臭いは特に感じず。拭くのに使用した紙類は持ち帰らなければなりません。

 

十勝岳山頂まであとは比較的緩やかな稜線を登っていくのみ!

 

大砲岩分岐 ~3時間10分経過~

以前はこの左側から三段山を結ぶ登山ルートがあったそうですが、上級者も避ける難コースだったため現在は封鎖。そのため分岐点ですが分岐になっていません。

 

十勝岳の噴煙はここからが一番はっきりと見えるのでは?

 

後ろを振り返って十勝側を見ると打って変わっての穏やかな地形で緑が豊か。見る方向によっての違いが豊富でなかなか飽きない景色だこれ。

 

あとは十勝岳山頂まで一気に!と思っていた自分に衝撃の事実が降りかかる。

 

十勝岳まで1.5km!?

 

ここまで約4.7kmの道のりを約3時間かけてやってきたわけです。となると単純計算で十勝岳山頂まであと1時間かかる…だとっ…。ここで私の頭の中の電卓を発動させます。

 

(現在時刻12:30+食事時間+下山時間)×残りの体力×熊出没確率=・・・

 

ここを折り返し地とする!

 

👺 判断が早い!

 

 

ひと通りの景色は見れたので満足です。明るいうちに下山して凌雲閣展望台から紅葉をもう一度見たいですし、下山開始とします!

 

ただその前に昼食を…と思ったのですがここは座り心地が悪い。上ホロカメットクまで戻ってから「おにぎり2個にコロッケ2個と味噌汁」でエネルギー補充!

 

 

下山 → 登山口

食事を済ませて上ホロカメットクから下山を開始したのは13:25。この頃には雲も増えてきました。登りでは背にして気づかなかった景色を楽しみつつ下りていきます。

 

太陽の向きが変わって紅葉がよりハッキリと綺麗に見える。

 

登山口に戻る ~6時間20分経過~

上ホロカメットクを出発して2時間10分、十勝岳温泉登山口に無事戻ってこれました。入山届の下山時刻に15:35と記入し、これにて今回の登山は終了!お疲れさまでした!

 

それにしても下山は結構しんどかった…。疲労の蓄積もありますが、登りより疲れたかもしれません。最後は結構ヘロヘロ気味になってのゴール。やはり大砲岩分岐で下山を決めた判断は正しかったですね。

 

再び凌雲閣展望台

朝は逆光で少し見づらかった紅葉がより綺麗に!展望台からの景色は昼過ぎくらいがベストなのかもしれません。

 

十勝岳との別れは野生のエゾシカに見送られながら。お腹が膨らんでいるのは妊娠しているとか!?

 

実は疲労のせいで登山ポールをうっかり展望台に置き忘れ、回収するために翌朝再び凌雲閣まで戻ってきたのはここだけの話です。

 

 

動画

 

 

十勝岳登山のまとめと注意点

初心者が登った経験からのまとめです。

登山日の気候条件

登山口から山頂までの気温は推定5℃~10℃くらいで、吐息が白いこともあり。全体を通して陽射しがあり、風は微風という好条件。

所要時間
  • 上富良野岳往復=4時間(登り2時間10分+下り1時間50分)
  • 上ホロカメットク往復=4時間40分(登り2時間30分+下り2時間10分)
  • 十勝岳往復=7時間~7時間半(推定)

登山初心者の自分が約5kgの荷物を背負って、喋りながら、撮影をしながら歩いてこの時間です。食事休憩の時間は含んでいません。

服装と装備

陽射しのおかげで長袖シャツ・半袖シャツ・ウインドブレーカーの3枚で十分、登りは少し暑いくらいでした。ただし天候は変わりやすいので、風を通さない防寒具(ウインドブレーカー類)は必須、インナーダウンかフリースを1枚持参が推奨という感じです。

 

底が厚くて滑らない靴は必須で登山靴が間違いなし。登山ポールはなくても登れますが、ほぼ全員が持参しているほどで下りで活躍してくれます。熊鈴は装着している人が多数派。手袋類はあれば良し程度。活火山ですがヘルメット装着者はほぼいませんでした。

飲食物

飲み物は少し多めに飲む自分で1.5リットルがジャストでした。食べ物は上ホロ往復までならなくても大丈夫でしょうが、山の上で食べるのは美味しいので何か持っていくといいかも。十勝岳まで行くならエネルギー補充のために必須です。

駐車場

繁忙期は平日でも早朝に満車は当たり前とのこと。ある程度の路駐もできますが、休日はさらに早めに来ないと難しそう。紅葉時期の休日は望岳台も長蛇の列をなすそうですし。

トイレ

トイレは駐車場と上ホロ避難小屋の2箇所。念の為に100円ショップで購入した携帯トイレを用意しましたが、6時間で一度もトイレに行きたくならず。汗をかくので小の回数はかなり減ります。登山口には携帯トイレ回収ボックスも設置されていました。

携帯の電波

強弱の差はあるものの全体を通してほぼ電波があります。登山口付近よりも稜線に出たほうが電波はよくなります。

難易度

危険な箇所は上ホロ山頂横の斜面くらいで、落石・滑落の心配はほぼなし。技術的には初心者でも平気でしょう。上ホロカメットクまでなら初心者でも問題なし、十勝岳までなら体力を要するので中級者向けの登山かなと思います。

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